長年航空機製造業で複合材製品の生産技術職に携わってきました。
一般的には「FRP(Fiber Reinforced Plastic, 繊維強化プラスティック)」と呼ばれる材料を用いての部品です。その大きさのバリエーションは4cmほどの小さな部品から畳八畳ほどのドア、胴体丸ごと、主翼丸ごとにまで至ります。
素材は大半が炭素繊維で織物(Fabric)タイプと一方向(Uni Directional)タイプで構成されています。
この織物タイプの中でも大半を占めるのが「平織り」。どの方向にも均質で扱いやすいのが特徴です。
一方、「綾織り」は使われる割合は少なく、強度計算も平織りより複雑で、製作の際にも材料の裏表を変えるだけで製品が反ったりするようなやや扱いづらい織り方。
でも、柔軟性が高いので複雑な形状にもにじみやすい。
私は、人にも同じようなことが言えるのではないかな、と屋号を「綾織り」としました。
一見扱いづらいと言われる社員、「あいつ使えない!」と上司が眉間にしわを寄せる社員。適正をとらえて、「やりたい仕事」の本質を見極めて配置すればきっと能力を発揮してくれるはずです。
会社の歯車となって目の前の仕事を確実にこなしてきた昭和の時代。今は会社も社員も柔軟に、その場その場に合ったやり方や考え方で見据えた「ゴール」を目指す方が楽しいかもしれません。